アンディーさんの旅日記「番外編ドイツ」

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“ドイツ”

  1988年11月19日(日) シュツットガルド

  今日は、デュッセルドルフ(首都ボン北部)からフランクフルト南東の街、
シュツットガルドまで車で移動だ。
シュツットガルドには、私の会社のドイツでの本拠地のテクニカルホールがあるところだ。

  朝食を、いつものようにホテルで食べる。
ドイツでのホテルの朝食は、いつ見ても目をみはるものがいっぱいある。
トースト、ロールパン、フランスパン、クロワッサン等いろんな種類のパンに加えて、
多種多彩の生ハム、スモークハム、ロースハム、ソーセージ、チーズ、スライスベジタブル、
コーンフレーク、ヨーグルト等がいつもテーブルいっぱいに並んでいる。
毎日、品を変えパンを変えて、いろいろはさみながら食べるので、飽きがこない。
でも、何といっても最高なのは、生ハムだ!
あの、ほどよい塩辛さが、口の中でとろけるようだ。

  朝食で、もう一つ私のお気に入りがある。それは、半熟ゆで卵だ!
ドイツでの朝食では、必ずといっていいほど、これが出てくる。
金属製の、小さなワイングラスのような形の容器に、この卵が乗せてある。
その、卵の上部の1/6ぐらいのところを、ナイフで勢いよく切り落とす。
切り取ったところから、スプーンですくいながら、塩をかけてほうばる。
卵の白身がきれいに殻から、はがれてくる。
黄身なんかは、半熟というよりも生に近い状態で、しかもあったかい。
底まで、きれいにスプーンでたいらげる。

これを、私は日本でも試みたが、どうもドイツで食べたようにはいかない。
黄身が生であったかい状態にするゆで加減が、むつかしく、また、卵の質が違うのか
スプーンですくっても、きれいに殻からはがれない。
やはり、見よう見真似だけでは、だめだった。

  朝食を済ませて、早速、車に乗り込む。
ドイツ赴任のK氏、イギリスから出張中のU氏、と私同様日本からの出張者のS氏で、
4人でのドライブだ!

“昨日のビアガーデンのアルトは、おいしかったなあ!”と私が言う。
アルトとは、軽自動車ではなく(あたりまえか!)、ビールの銘柄名で、このあたりでは、
有名な黒ビールだ!
普通、ドイツでは“ピルツ”というビールが一般的で、キリンビールみたいなものです。

ミュンヘンあたりの南の方では、濁った色の地元ビールがたくさん有り、味もさまざまだ!
昨日は、地元の、このアルトを造っている工場内にある、産地直送のビアガーデンへ
行ったのである。

ここのビアガーデンは、まさにビアガーデンに徹しており、ビール以外は何も置いていない。
もともと、ドイツ人には、つまみがいるという感覚はなく、ビールのみをひたすら飲みまくるのが
欧米人スタイルだ!(アメリカでも同じ)

ビヤガーデンの中には、あふれんばかりの人であふれかえり、熱気さえ感じる。
座るものは、樽がおいてあるだけで、ほとんど立って飲んでいる。
バーテンダーが大きなお盆に、ビールの入ったたくさんのコップを持ち歩いているが、
あっという間に、みんなにもぎ取られてしまう。もちろん、現金でのその場交換。
野球場でアルバイトのにいちゃんが、おおきな箱をかかえてビールを売る雰囲気に
似てはいるが、売れ行きのすさまじさが違う。

  車は、デュッセルドルフの駅へ向かう。
“どうせ行くなら、ローレライを見ながら、電車で途中まで行こう”
S氏の提案である。“よーし!到着地のバーデンバーデンまで、競争しよう”
私とS氏が電車に乗り込み、出発までK氏とU氏が見送り、さあ、スタート、車発進!
電車出発時刻9:00。

電車に乗り込むと、全くのガラガラ。1つの車両の中で、我々だけ!
“こんなんで、もうかるはずないよなあ!”ヨーロッパ随一の車国ドイツって、感じ!
便利さと採算性は、度外視して、クルーザ気分で電車を運行しているんだろう。
ライン川沿いを走るこの電車は、大変気持ちいい。川の両側や真ん中にたくさんの、
お城がいまだにたくさん、残っている。
中世の頃、ライン川を征した者が、経済を征すと呼ばれたくらいに、重要な川で、
海賊と言うか、川族もいっぱい出没し、通行税を取る関所みたいなところもたくさんあった。

ローレライは、そのライン川の、あるほんの一部の地帯を呼ぶらしいが、
よく、見ていないとわからないようで、食い入るように外を二人で見つめている。
“あった!あれが、ローレライかあーー!”思わず、叫ぶ。
“おい、おい、わかりやすく看板立てて、日本語(カタカナ)で書いてあるぞー”
別に、特別何という風景ではなかった。日本人だけの観光地扱い。
なんとも、期待外れ!!
そのあと、どっと疲れがでて、二人ともスヤスヤ!

“はい、はーーい!”車掌の言葉で、目が覚めた。検札だ!
切符を見せた後でも、車掌はここを、一向に立ち去ろうとしない。
どこから来たとか、どこへ行くとか、べらべらしゃべってくる。
よほど、ヒマなんだろう。車掌の話によると、途中で乗り換えないとバーデンバーデンまで、
行けないらしい。(直通と思い込んでいた)
それを、また丁寧にたいへん詳しく、くどいくらいに、説明してもらえるもんで・・。

  電車が停止し、車掌さんの行った通りに、乗り換え。
ホームらしきものはなく、レールをまたっがって、向こうにある電車に乗り込む。
“やれやれだ!しかし、乗り換えしないといけないなんて、知らなかった”
“車掌に説明してもらえなかったら、どこへ行ってたのかどうか?”
“言葉がわからんのは、やはりスリルがあって、おもろいなあ!”
とんでもなーい! はぐれたら、どうすんの?

バーデンバーデンに着いたのが、12時を少しまわった頃。
“奴等より、早いんじゃなーいかな!”と言いつつ、外に出ると待ちくたびれた顔で、K氏がいた。
“おめーら!おーっせーな!1時間も待ってたぞー!!、完全勝利。”
やはり、200キロ以上のスピードで突っ走る車の方が、はるかに早いことが証明された勝負だった。

“昼飯にするぞー!、もちろん、敗者払いでーーー!”
この、バーデンバーデンは、温泉が湧き出る別荘地として結構有名で、人も結構にぎわっている。
そして、いかにもドイツ風のレストランに入ってみる。

“まず、ピルツ(ビール)4つ!”
ドイツ人のビールの飲みかたのこだわりは、すごいものだ!
オーダしてもなかなか出てこない。ドイツ人のビールの飲みかたは、
必ず泡を、数センチの層に木目細かくこしらえるために、すこしづつビールを継ぎ足してゆく。
しかも、私たちの見えるところに、そのコップを見せながら・・・。
だから、たかがビールでも、時間がかかるのだ。

だから、私たちは、いつも1杯目を飲む時に、2杯目の分まで早めに頼んでおくのである。
そのためかどうかわからないが、ビールを最初に飲む前に、スナァップスという食前酒を飲むのが、
ドイツでは普通だ。
これは、たのんだらすぐに出てくる。
めちゃめちゃ冷えたガラス製の、おちょこみたいな容器に、透明の、これまた、
めちゃめちゃ冷えた酒が入って出てくる。
においを嗅ぐと、予防接種をする前に塗られる、消毒液みたい。
アルコール度50ー60%の超キツーーイ酒。
しかし、中国のマオ酒みたいに何杯も飲むようなことは無い。
ドイツ人は、このお酒は食事前のメディスン(薬)だと、言っている。
(これで、お腹の中がアルコールで洗浄されて、おいしく料理が食べれる)

  ドイツ料理で、日本人になじみあるものの一つに、シュニッツェルがある。
いわゆる、カツレツ。
だが、このカツレツは、大変地元色の強い料理で、あたりはずれが大きい料理だ。
どこの店にも、シュニッツェルの前に、**風と書いてあり、辞書で調べても
さっぱりわからない意味の、きこり風とか農村風とか田舎風。
斧でも使って料理するのかーー!
と言いつつ、シュニッツェルをたのんだ!

  料理を待っている間、また食べ物の話題。
“やっぱ、安くておいしいのは、ギロスだなあ!”とS氏は言い切る。
“おれは、パリっとはじける、安物ソーセージ!”とU氏も付け加える。
いずれも、ドイツのどこの街にでもある、ドイツ風ファーストフードで食べれる物だ!
いわゆる、日本風で言うと、日雇い人夫の“めしや”だ!

  ギロスと言うのは、正しい言い方かどうかわからないけど、薄目に切った肉を、
鉄の串に縦に何枚も重ねて突き刺し、50センチぐらいの長さになったものを、
ゆっくり回しながら(自動で)、周りの電気オーブンで徐々に周りを焼いてゆく。
焼けた周りの表面を、チェーンソーみたいな包丁で、焼けた部分だけ削ぎ落として、皿に盛る。
付け合わせは、ドイツでおなじみのキャベツの酢付けとジャガイモ。
量はたっぷりで、7ー9ドイツマルクぐらい。

  ソーセージは、ドイツレストランへ行くと、安いのから高いのまでいろいろな種類の物があるが、
私は一番値段の安いものを、頼むことにしている。
高級なソーセージには、得体の知れない、何かの内臓らしき物が含まれていて、ナイフで切ると、
ぐにゃっとへこむやつが多い。
このたぐいのものは、はずれが多い。(物の試しに、食べるべき)
安物のものは、パリッとはじけるように切れて、中から肉汁がにじみ出て最高の味!

  そうこうしてるうちに、シュニッツェルが出てきた。
“これは、いけるーー! 当ッたりーー!”

<中略>

“さあ、ここから一気にシュツットガルドだ!!”
ドイツの高速道路のアウトバーンは、ほんとうに広くて、整備されている。
ほとんどの区間が、片側3車線以上あり、一番左の追い越し車線は、いつもガラガラ!
すいているからって、左端の車線を走っていると、ルームミラーで、小ちゃく写った車から、
パッシングの応酬!すっと、
右車線に移ると、ビュン!とポルシェが、ものすごいスピードで抜き去る。
“おいおい!こっちも、180キロ出してんだぜ! あの、ポルシェ何キロ出してんの?”
左端車線を走るのは、持っている車のグレードステータスである。

“ヒットラーは、すごいもんだ!飛行場代わりに、アウトバーンを造ったのだから!”
“でも、こう真っ直ぐばかりだと、眠くなってくるなあ!”
“飛行機は急に曲がれない・・・って!”

  その日の、夕方には、無事シュツットガルドの、テクニカルセンターに着いた。

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