アンディーさんの旅日記「ナイアガラの旅 その1」
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“ナイアガラの旅 その1”

  1996年7月吉日 晴れ

“きょうは、いい天気だ! ラッキー! イッツ カンファタブル!!”
朝、5時半に起きた私は、窓を開けて思わず叫んでしまった。
ここは、アメリカケンタッキー州の北部のオハイオ川近くにある田舎町フローレンスのアパートの
一室である。

  私の会社のアメリカ現地法人がここにあり、私はその営業技術支援のために1月末から6ヶ月間の
長期出張中の身である。
今、日本は、バブルがはじけて不況のどん底にあり、
“仕事が全くなく暇をもてあましているくらいなら、景気絶好調のアメリカ仕事せい!”
の会社号令のもと、やり玉にあがった一人が 私である。

  もう、帰国が間近に迫っている事もあり、この連休に遠出の観光に行こうと決めたのは、
私自身である。
“3連休だから、相当遠いところまで行けるぞー!!”
と言うのは、凝り性エンジニアのキースK課長。
“よーし、どうせなら、これぞアメリカってとこ行きましょう!!”って言うのが、
ゲタ顔のトーマスU氏だ。
アメリカ人は、日本人の名前を呼びにくいので、すぐにニックネームをつける。
普段は、すべてニックネームで呼び合っている。
たとえ相手が役員だろうと社長だろうと、同じである。
しかも、名前の前に感嘆詞を気軽につけちゃって、“ハ−イ、ブライアン!!
(アメリカ会社の社長の名前)ご機嫌いかがー!!”
日本ではとても信じられない、国民性の違いである。

“よしっと! ナイアガラの滝まで繰り出すかあー!!”

  昨日の晩に炊いたご飯が、まだ暖かい。かといって、朝食で食べるのではない。
今日の昼飯用の素材だ。そう、ライスボール、つまりおにぎりだ。
トーストとコーヒーを軽くつまんで、早速製作。
これが、むつかしいんだなあ! 何がむつかしいって、おにぎりの形に握るのができないんです。
手を水でぬらし、塩を振ってごはんを手にのせる“アチチチチ!!”
真ん中に、赴任者から調達した梅干しを入れて、さあ握って握って!!
どうやっても、きれいな三角マークのおにぎりの形にならない!
“えーーい! 形なんかどうでも、食べれりゃあーいいわー”
もう、開き直り状態。最後にのりを巻いて出来あがり〜〜。
5人分のいびつな形のそろわない、ブラックライスボールが20個。
これを、アルミ箔で包んで完成。

  準備を済ませ、車で集合場所の会社の駐車場に行く。
もう、既にみんな集まっている。
今回のツアーは、キースK課長、トーマスU氏現場の関谷さん、若造のK氏と私の、
日本人長期出張者5人である。

  私の使っているレンタカーに、乗り込む。
“さあ、一路ナイアガラの滝まで出ー発!! GO!”
すぐに高速道路に乗る。
アメリカの高速道路はすべて無料なため、普通の道を走るのと、何ら変わりがない。
すぐにオートクルーズを65マイル(約100キロ)の速度にセットしてアクセルから足をはなす。
“これが便利きわまりない! アメリカの車はレンタカーとは言え、ほとんどの車に標準装備だから
ありがたーい!”
そうなのである。なにしろ、高速道路を長く走る事の多いアメリカではオートクルーズがないと
やっとられん。

  私の借りているレンタカーは、1ヶ月380ドルと大変安い。それもそのはず、
走行距離が16万マイル(25万キロ)走っているのだ。
この前も、交差点で突然エンジンが止まってエンコ。
すぐに車を換えてくれるんだけれども、その連絡をするのが大変なんです。
日本みたいにそこら中に公衆電話や民家がないもんだから、郊外で大雪の日にエンコしたときには、
凍死する事さえ珍しい事ではない。
今回も、このナイアガラまでの往復1800キロの道のりを、エンコなしで車が走ってくれるのかが、
最大の心配事である。

  車は、ケンタッキー州からひたすら北へ向かって、まっすぐな道を時速65マイルの
等速度運動で走り抜ける。
途中、シンシナティーのダウンタウンを突っ切る。
野球のシンシナティーレッズのある大都市だ。
日本では、おなじみのパンパースの紙おむつの、会社の本社があるところでもある。

  ダウンタウンを通り抜けると、両側は一面トウモロコシ畑となる。
何キロ行っても、この景色はかわらず、地平線のむこうまで畑が広がっている。
“アメリカ産のコーンが安いはずだ! スケールが違う!!”
とトーマスU氏が感心しながら、変わる事のない景色に見入っている。
“種まきは飛行機、刈り取りは大型トラクターを使ってるんだよ!”
“ただし、畑の端から端までトラクターで往復するのに、1時間以上はかかるくらいの広さだ
と言っていたよ”
さすが、凝り性のキースK課長、物知りである。

  アメリカの高速道路は、碁盤の目のように東西/南北にくまなく整備されており、
道路の番号も、偶数が東西、奇数が南北へ向かう番号と決まっている。
しかも、出入口のインターの番号が南、または東からの州境からのマイル数がそのまま使用してある。
つまり、高速道路1号線の25番出口と言うと、南北に走る道路で南の州の境界線から
25マイル走ったところの場所にあるインターと言う事である。
さーすが、合理化徹底主義のアメリカだけある。

  アメリカならではの、やっかいな事もある。それは、国内で4つの時差があることである。
この時間変更境界線が、東西にきれいに直線で分かれているのではなく、
でこぼこの時間変更境界線なのである。
だから、高速道路を南北に走っていても、突然時間が1時間早くなったり、
遅くなったりすることがよくあるから、馴れない日本人にはたまらない。
知らずにいると、現地で時間が間違うから大変! 大変!
一番面白いのは、ニューヨークを朝の8時に出発する国内線が、同じ時刻の朝8時にロスに
到着するのである。
時間の引き算が成り立たなーーい!

  大きなダウンタウンを5つほど通り過ぎると、早12時近くになっていた。
かれこれ5時間は走っている勘定になると、500キロは走っている。
それなのに、大きなダウンタウンのある都市が、わずかに5つとは、アメリカは広いんだなあ。
“おーい、そろそろ昼飯にすっかー!!”

  ドライブインにて、休憩。私がこしらえてきたブラックライスボールを、それぞれに渡す。
歩きながら、アルミ箔で包まれた、テニスボールをすこし小さくしたくらいのを放り上げながら
遊んでいると、周りのアメリカ人たちが、こっちをみて不思議そうに見ている。
“今だ!! 今だ!!”と言いながら、おもむろにアルミ箔をむいて、
黒い丸い物体を取り出し、また放り投げて遊ぶと、さらにアメリカ人の目が不思議そうになる。
その黒い物体を、手に受け取った瞬間にパクッとかぶりついたもんだから、
それを見ていたアメリカ人は、目を丸くして驚いていた。
“ママー! あの黒いボールは何? あの人たち、食べているよー!!”
“ダメダメ!! 見ちゃだめよ! あれは、お薬よーー、坊や!”

“おいおい! こんなうまいもんを・・”
“このノリの黒さが、アメリカ人には無気味に見えるんだろうな!!”
“アメリカ人にあられをやっても、ノリのついたのだけは食べんもんなあ!”
“梅干しなんか食べさしたら、ビックラこくだろうなあ!”

この休憩場で、道案内の地図を見る。
ナイアガラの滝があるバッファローまでは、まだ400キロ以上はある。
先はまだまだだなあ!! だって、カナダの国境まで行くんだからな。
腹ごしらえをしたあとに、運転手をキースK課長に交代してまた出発。

おなかがいっぱいになったせいか、一言の会話もなく、運転手以外は眠りの床に・・。
“あーーん! K課長、ご苦労さーま。あーあん! おやすみなさーい!”

<中略>

  やっと、バッファローまでの標識が見えた。あと、90マイル、時間にして1時間半である。
現在時刻は午後3時半である。
“あっ、海だ!! 海だ!!”とトーマスU氏が叫んでる。
“海? はてな? バカこけ! 海なんかあるはずないぞ! あれは湖”
いや、海と言った方がスケール的には正しいのかもしれない。この5大湖の広さは、並みではない。
はるか水平線まで見渡せるほどだ。 この湖が、大西洋に流れる川の途中に、ナイアガラの滝があるのだ。

湖を見た瞬間、俄然、みんなの目に疲れを忘れた元気さが戻ってきた。
バッファローの街からナイアガラまではすぐのところだった。
この時、午後5時になっていた。

“滝を見に行く前に、今晩の宿を捜すぞー!!”
そうです! 明日の夜は、カナダ側で泊まるために事前予約をしてもらったんだが今日の分は、
いきあたりばったり。
いろいろあちこち回って、2−3件5人が泊まれる部屋があるのかを聞く。
4件目のすこし危なそうな、ラテン系の経営者のホテルが、部屋が空いていた。
いわゆる車が部屋に横付けできるモーテルである。
(日本とは違って、一般的にビジネスにも使うホテル)
ここで、エキストラベットを1つ追加してもらって、2人と3人とで2部屋を借りた。
アメリカでは、男同士が同じ部屋に泊まると、必ずホモだと思われる。
“気にしない! しない!”っとトーマスが言う。
“ホモに間違えられたとしても、オメーとはごめんだー!!(笑)”
私の少しばかりのわがままである。

  荷物を部屋において、さあまずは、うわさの滝を拝見!拝見!
標識に沿って5分もすると、サー!!という音が聞こえてくる。
“おーー! この音がナイアガラの滝の音か!”
更に進むと、滝の音がザザーー!!に変わる。
そして、駐車場に着いたときはゴー! ゴー!!と言うすざまじい音に豹変。
歩いて、滝の近くに行く。

“うぉー!! すっげーえ!! すっげーえ!!”
“まさに、これがやっぱアメリカだあーー!!”と興奮しているのは、トーマスU氏だ!
なにやら手を合わせて、お経まで唱えて喜んでいる。(なんでお経なんだ!!)

  川の幅は、良く分からないが数百メートルはあるだろう!
滝壷までも、気の遠くなるほど小さく見える。
なんといってもすごいのは、流れて下に落ちる水量の多さだ!!
その水の落ちるすぐ近くまで、観光用の船が近づいている。
“おいおい!大丈夫か! あんなに船で近づいちゃって!!”
“おーい!記念写真とるぞー!!”“ハイチーズ!!”

  向こう岸はカナダ領で、人込みが小さく見えるが、ホテルはものすごいでっかいホテルが
そこら中にいきり立っている。
我々の明日予約したホテルは、どれだろうなあ!
ホテルの上の部屋から見るナイアガラは、もっと美しいんだろうなあ。

どう考えても、今いるアメリカ側よりも向こう岸のカナダ側の方が、宿泊施設は整っている。
ガイドブックによれば、カナダ側からのナイアガラの眺めの方がすばらしいらしい。
ひととおり、アメリカ側を見て回り、観光ツアーセンターを探す。

“あった!あった! こっちこっち!!” またも、さーすが凝り性のキースK課長だ。
ここで、9時からの半日コースのツアーに参加する事にし、リザベーションしておいた。
“これで、明日の観光は安心!安心! さあーホテルに戻ってから、ナイアガラ前夜のディナーだ!”

****** TO BE CONTINUE ******

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